| 京の町家街区への提案 |
| 古き良き伝えを、未来へ向かっての大いなる創造のために |
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1984年4月 京都府建築士会 「京の町家街区への提案」 最優秀作品賞 |
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おはようさん おはようさん!かつてはよく耳にしたことのある、朝の挨拶を、最近の我々は、忘れてしまっているのではないだろうか。町内の人々は、この簡単な一言を、とおりと呼ばれた路上で、毎朝気持ち良く交わす事により、それぞれの一日の暮しの始まりとしたのである。ところが、今のとおりに目をやると、どうであろうか。この四十年余りの間に、人々の中に植えつけられ、成長定着した近代的精神構造もさる事ながら、車という、動き回る事の出来る都市構造の部品の一つが災いして、おはようさんなどと、路上で言い交す事が出来なくなっているのが現状なのである。我々は、この言葉を日々の暮しのあらゆるふれあいの原点の一つとしてとらえ、楽しい会話が満ちあふれる町造りを提案するものである。これらの事が人々の中に豊かな個性を芽ばえさせ、日々の暮しがより安全なものに、そしてより多様なものになり、ひいては思いやりあふれる豊かな地域社会へと発展する事を祈っている。 |
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街区計画 「向こう三軒両隣」このように京の町では、とおりをはさんで向かい合う町並どうしが、町内と呼ばれる一つの共同体を形成するのが特徴である。また、近世においては、その街区の中心に、四つの町内の、背中通し向かい合った人々が集う共同広場が存在し、これによる連鎖的結合が都市全体の人々に意識の連帯をもたらしていたのである。ここで我々は、街区における三つの空間を提案している。一つは、過去の再現とも言える街区中心の共同空間、これは地下に駐車場を持ち、おはようさんひろばと名付ける。二つ目は、通行、対話、商い、小さな祭行、などの機能をもつ町内の空間、これをとおりと呼ぶ。三つ目は、道路の交差点を中心に広がりをもつ空間、これをかどと呼ぶ。上記三つの空間は、各個々に機能するのみならず、人々が媒体となっての相乗機能をも生れるのである。 |
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各戸計画 町並を構成する展型となる戸は、ひろば、とおり、かど、となる空間の一部を、それぞれが地域に提供し、共有するのがこの計画の基本である。ひろば、とおり、かどから、2間〜3間の距離は、切妻平入りの二階建までの本造部分とし、それらによってはさまれた形で、中心部に切妻三階建以上の防火耐震壁となる鉄筋コンクリート造の部分を持つ。公共に提供したために不足する面積は、この部分によって補う事が出来るし、また、各戸の機能上広面積が要求される場合にも当てられるのである。地下部分は全て鉄筋コンクリート造とする。各戸木造部分はとおりやかどに向かっては、商いとしての顔、または、住居としての、表の顔を持ち、ひろばに向かっては、裏となる暮しの顔を持ち、各戸が二階建以下部、三階建以上部からなる全体の町並像は、切妻平入りという、伝統の一つを継承する事により、京都の歴史的環境に融合した、新しい個性ある、町並みとなるであろう。 |
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最近の講演
平成12年5月20日(土)
テーマ「京の町家街区に対するひとつの提案」
―京の町家をボストン子ども博物館に移築する仕事を通して―
場所:祇神会会所
(三条通大宮西へ二筋目下ル東側)
14:00〜16:30
★(株)熊谷設計事務所代表熊谷勝氏(京都ボストン交流の会理事)による講演。講演後は小川家住宅「二条陣屋」を参観。二条陣屋は江戸時代,諸大名の宿泊所となった重要文化財の建物。大広間など24の部屋はいずれも釣階段などの仕掛けをはじめ多くの創意工夫がこらされている。
主催・問:京都ボストン交流の会
075-752-3511